一般歯科


むし歯について

歯を失う原因歯を失う原因のほとんどはむし歯か歯周病です。
つまり、この2つを防ぐことが出来れば、生涯にわたって自分の歯を保つことが出来るのです。
当歯科医院では、そのお手伝いをさせていただきたいと考えております。

むし歯をつくらない・進行させないことがむし歯治療の原則

6歳臼歯(第一大臼歯)がむし歯になってしまった、歯が生えてから5年の子どもは、治療した子も含めると80~90%にもなっています。一番大事な歯が、一番むし歯になりやすいのです。その理由としては、第一大臼歯が萌出してからすっかり生え終わるまでには、上あごの歯で11か月、下の歯で17か月もかかり、弱く、しかも汚れやすい時期が長く続くからです。また、かみ合わせの面には、深い溝があり、人によっては、溝の底がとても弱いことがあって、その形もむし歯菌が増えやすい汚れのたまりやすい形をしているからです。しかも乳歯の奥に生えてくるので、お母さんも子ども自身も生え初めに気づきません。歯ブラシも十分には届かないまま、何か月かをすごすことになるのです。
この歯をむし歯にすることが、年をとってからの歯のない生活の第一歩になる傾向があります。
当院では第一大臼歯が生え始めたら、定期的に管理して、通常は3か月ごとに歯みがきのチェック、歯科衛生士による清掃、フッ化物の塗布をします。歯科医師は第一大臼歯の溝を診査して、必要に応じて簡単な処置をします。保護者の方には、歯科衛生士から子供の歯みがきの仕方や手伝い方を指導させていただきます。このようにして、当院と保護者の方が協力して、大切な6歳臼歯の危険な時期を乗り越えることを第一の目標にしています。大切な第一大臼歯ですから、当院では、ちょっとむし歯になったからといって、小学生のうちに大きな治療をすることを極力避けるようにしています。第一大臼歯の小さなむし歯をどのように処置するかは、当院の命題です。むし歯を削って詰めてしまえば一時的には治るでしょうが、お口の中のむし歯になる条件を変えなければ、むし歯は再発します。当院では歯科医療先進国スウェーデンのカリオロジー(むし歯学)をベースに、むし歯をつくらない・進行させないことをむし歯治療の原則として患者さんに対応しています。

シーラントでむし歯になりやすい溝をふさぐ

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乳歯は、永久歯にくらべるとミネラル分が少なく、むし歯になりやすい傾向があります。特に、かみ合わせのせまい谷底には、むし菌や食べもののカスがたまりやすく、その谷底の下に一段とやわらかい狭く深い溝があって、そこからむし歯になることが多いのです。歯みがきを十分に行っても、その溝の中にはブラシの毛先は届きません。 そこで、かみ合わせ部分のむし歯を未然に防ぐために、乳臼歯と第一大臼歯には予防的にフタをしてしまう小窩裂溝填塞=シーラントという処置をすることがあります。 このシーラント処置は、外から見ただけではなくむし歯にかかりやすいと診断した場合に行います。もちろんこの処置は、定期的に管理することを前提にした処置です。シーラントをすればむし歯にならないわけではなく、あくまでも、むし歯になりづらい環境をつくることが治療の第一歩とご理解ください。

できるだけ削らないで掻き出す

小さなむし歯の処置では、処置する歯以外はゴムのシート(ラバーダムシート)で覆ってしまい、処置する歯だけに金具(クランプゴム)をつけて手前に出して、超音波の器具や薬液でその歯の溝を掃除した上で、プラスチックをその部分に埋めます。子どもの歯のかみ合わせ部分にむし歯ができてしまった場合には、小さな刃物が付いた器具(キュレット)でやわらかくなったむし歯を削り取ります。キィーンという高い音のする器具(タービン)は、ほとんど使いません。もし歯の中の血管が露出するぐらいにむし歯が大きかったり、痛みがある場合は、ラバーダムシートをかけて治療します。歯の中の血管の一部を切り取る必要があるかもしれないからです。歯の中の血管の一部を切り取る治療は、ラバーダムシートをかけてお口の中(口腔内)を感染しにくい状態で治療をすることで、治療の結果がまったく違ってくるからです。

健康な歯質をなるべく残す治療

むし歯になって歯科医院に行くと、キィーンとうなり声をあげるドリルで歯を削られる経験があると思います。むし歯を治すために悪い部分を削っているようですが、実はそうではありません。削っているのは、健康な歯質です。ひどいむし歯になると、健康なところまでたくさん削りとることになるのです。
むし歯は、普通悪くなったところを取り除いて、歯の中の血管や神経を保護する処置をします。できたばかりのむし歯は柔らかいので、ドリルで削るまでもありません。
それでは、なぜ健康なところまで削ってしまうのでしょう。

従来のむし歯治療はかぶせるために削る

むし歯が大きく、かみ合わせの部分がほとんどなくなっているような場合には、かぶせる治療が必要になります。詰めたところがはずれて、むし歯が進んでいるような場合です。従来のかぶせる治療で歯を削る場合、かぶせものが外れにくい形にするため健康な歯も鉛筆のように削らなくてはならないこともあります。

前歯であれば、プラスチックや瀬戸物(ポーセレン)で外側をカバーして歯の色を再現するために、人工の歯にかなりの厚みが必要です。人工の歯の芯に金属を使う場合は、その金属のキャップを歯にかぶせますが、歯と人工の歯の境目をしっかり合わせ、歯の根元を白い色にするために、金属のキャップはツバ付き帽子のようになります。削る量が少ないと、歯のふくらみが大きくなって歯ぐきが汚れやすくなってしまうため、歯を必要以上に削る傾向があります。

従来のむし歯治療は詰めもののために特別な形に削る

少し大きなむし歯、あるいはむし歯は大きくなくても、かみ合わせの部分など、固い材料で治療をしなければならないときは、金属の鋳物やセラミックス(インレー)を使います。歯を削ってある決まった形の穴を掘り、その型に合わせた金属の鋳物やセラミックスを作成して、それをセメントや歯科用接着剤で穴にはめ込むのです。 特に穴にセメントでセットする場合は、鋳物が落ちないように、特別の決められた形(窩洞)に歯を削る必要があります。詰めたものが落ちると患者さんは「下手な歯科医だ」と考えますので、落ちないように深く特別な形に穴を掘るため健康は歯質までも削られてしまうのです。

当院では最小限に削ります

 

むし歯が大きくないときや、前歯の外側でかみ合わせの部分に関係のない場合には、プラスチックを詰めます。この場合は、むし歯の穴をちょっと拡げる程度の削り方です。しかし、かみ合わせの溝の形やむし歯の形によっては、今後むし歯になりそうな部分も削ります(予防拡大)。
当院ではセラミックスやプラスチックを歯に固定させる接着剤を極力使用して、できるだけ詰める穴を最小限にとどめ、むし歯になった歯質だけを削ります。

 

当院では小さいうちに小さく詰める

従来のむし歯の治療では、むし歯を取り除くためではなく、形を回復するために、歯を削っていました。そのため、歯をダメにする危険をはらんでいました。
大人の歯にむし歯の穴ができてしまったら、そこに細菌が住みつくため詰める治療が必要です。小さなむし歯のうちに小さく詰めれば、長持ちします。小さく詰めれば、もしそれをやり直す時が来ても、最小限に削るむし歯治療ですみます。最初の削り方の違いとその後の管理で、歯の寿命を延ばすことができるのです。できるだけ小さく詰めたり、削らずに経過を観察して健全な歯質を残す治療(MI・ミニマル・インターベション)は、患者さんとかかりつけ歯科医の関係が築けてこそ可能な治療方法です。